インタビュー

メジャー化に舵を切ったGunosy(グノシー)の今後とは

2013年12月4日

株式会社Gunosy

代表取締役 CEO 福島良典氏 / 木村新司氏

代表取締役 CEO 福島良典氏 ※写真右

1988年生まれ。東京大学大学院工学研究科にてデータマイニングを研究し、在学中にGunosyを開発。2012年度IPA未踏スーパークリエータ。2012年に株式会社Gunosyを創業し、現職。

木村新司氏 ※写真左

1978年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。株式会社ドリームインキュベータ、株式会社シリウステクノロジーズ取締役を経て、株式会社アトランティスを創業。同社をグリー株式会社に売却後、投資家として株式会社Gunosy創業に関与。

大型の資金調達、TVCMの開始、プロダクトの大幅アップデートなど、Gunosyは「メジャー化」への舵を一気に切ったように見えます。

福島氏:やりたいこと自体はそれほど変わっていないのですが、アプローチの仕方を大きく変えたという感じです。これまでのGunosyは、「あなたの興味を解析して25本のニュースを毎日届けます」というもので、ユーザーにも支持されていましたが、実際のユーザー行動は他のニュースアプリも併用している方が多かったのです。これはユーザーにとって面倒だということで、ニュースの幅にある程度の広がりを持たせ、Gunosyだけでニュースを完結させられるようにしたのです。ニュースにはものすごいポテンシャルがあります。現在のユーザー数は200万人を超えていますが、今回のアップデートによって、スマホの1画面目にGunosyのアイコンが置かれ、国内でも2000万人のユーザーが見込めるプロダクトになったと思っています。

木村氏:PCのニュースサイト大手のユニークユーザーは、約8000万人います。ただ、現在はPCがメインで、「スマホ×ニュース」の領域には、広いスペースがあります。そこを大きく取りに行くというのが今回の戦略であり、TVCMを含めたアプローチの意味です。

メジャー化に際し、「3分でニュースをまとめ読み」というメッセージを打ち出していますが、Gunosyの強みは、「あなたにぴったりの、パーソナライズされたニュースを届ける」というアルゴリズムにあったかと思います。

福島氏: 引き続き、アルゴリズムによるレコメンデーションの精度に妥協はありません。データを解析してアルゴリズムをブラッシュアップすると、確実にユーザーの定着率が変わっていきますから。「ちゃんと自分に合った記事が来る」「ノイズが減り、情報を探す時間が少なくて済む」という要素は、相変わらず非常に重要視しています。ただ、ユーザー数を数百万人から数千万人に「一桁」変えるために、アピールのポイントを変えたというだけです。初期のコアなユーザーは、「パーソナライズ」という強みを支持してくれていましたが、それでは広いユーザーに伝わらないというのがネックでした。そこで、あくまでもGunosyの良さは裏側でしっかりと担保しながら、ユーザー層を広げるために、「3分のスキマ時間でニュースが読める」という手軽さをフックにしたということです。

今後のプロダクトはどう変化していくのでしょうか。

福島氏:現在のニュースアプリとして必要な機能は一通り揃いましたが、まだ、改善の余地はあります。アルゴリズムでニュースを選んでいるので、本当に重要なニュースは来ているか、記事の信頼性はどうか、リアルタイム性・速報性はあるか、といった点はどうしても行き届かないところがあります。それに、情報の種類はまだ増やせますね、動画などは可能性としてあると思っています。情報をニュースだけに限定すると狭くなってしまいますが、Yahoo!もGoogleも、ニュースや検索だけでなくいろいろありますから、まだ今後、プロダクトに広がりを持たせることができるのではないかと思います。

Gunosyは何かのリプレイス(代替)なのでしょうか、それとも新たな価値の創造なのでしょうか。

木村氏:今までは朝、満員電車の中で新聞を小さく折りたたんで読んでいた人が多かったかと思いますが、スマホをシュッシュッとやってGunosyを読む方が手軽ですので、そういう意味では満員電車における朝刊のリプレイスと言えるかもしれません。あとは、時間のシェアの取り合いという意味では、これまで電車の中やちょっとした時間でソーシャルゲームをやっていた人が、Gunosyを通じてニュースやブログを読むようになる、というのはありますね。ただ、Gunosyがやろうとしているのは、時間の取り合いに勝つというよりも、「情報取得効率の最大化」といえます。配信の仕方、記事の見せ方次第で、「時間当たりの情報取得量」は変わってきますからね。そして、「時間当たりの情報取得量」を最大化したうえで、滞在時間を長くできれば、Gunosyがユーザーにとって決定的に重要な存在になると考えています。

福島氏:これまでは数百万人に発信するためには大手新聞社の記者になる必要がありました。これからは、誰かのブログが1000万人に届くことがありうる世界です。発信側から見たときには、それは一つのジャーナリズム革命と言えるのではないかと思います。

Gunosy Wayの中に、「数字は神よりも正しい」という一文がありますね。

福島氏:ユーザーのログがすべてサーバ上に残る時代においては、「数字を見てユーザーが求めているものを見つける」姿勢は必須だと思います。ユーザーから寄せられる声よりも、ログに残っている要望の方がはるかに多いので、そこをちゃんと分析してサービスの改善につなげられるチームを組織としてどう作っていくかは大きな課題です。今のメンバーはサービスに深くかかわっているので、数字を中心にしつつも、出てくる改善策はかなりサービス寄りの視点になっています。組織の規模が10倍になった時にも、数字を元に、ユーザーのためにサービスを速いスピードで改善し続けられるかどうかはこれからの大きな課題といえます。

木村:僕や福島を含め、みんな異常に数字が好きだというのがやはりあります。数字へのこだわりは相当なもので、部署や役割を問わず徹底されているので、手を打つ際にも必ず数字をベースにして正しい手を打つようにしています。常に数字を意識できるよう、ディスプレイをオフィスに設置して、いつでもKPIが見えるようにしています。そして、数字を達成したら、あそこにあるドラ(写真参照)をたたくのです。楽しさが重要です。小さいことですが、ドラをたたくとやはり気持ちいいですから(笑)。

★ドラ写真.png

順調に見えますが、これまで、失敗もあったのでしょうか。

木村氏:これまでいくつも試して、いくつも外してきています。むしろ、外した数を誇りにできるほどです(笑)。「外さないと、当てられない」のです。ですから、「外した人が責められない」ことが重要です。外すことは悪いことではありません。「試さないことが一番やばい」と思わなければいけません。こういうサービスは何度も壁がやってきます。Gunosyもそうでしたが、そのたびに数字中心で、とにかく細かいチューニングをやり続けることが大切です。数字が正しいのですから、手を打つしかないということでやり続けてきたからこそ、Gunosyは伸び続けているのだと思います。もし、壁の前で感覚的に対応していたら、きっとそこで止まっていたのではないでしょうか。Googleの検索エンジンもそうだと思いますが、数字中心で、細かいチューニングを何回も、高速に積み重ねていくことが重要です。やはり、継続して細かな努力をずっと続けられる組織でなければ勝てないという気がしています。

福島氏:これからも間違う可能性は大いにあります。以前は、「僕の周りの人が喜ぶもの」を作ればよかったので、ユーザーの感覚に合わせることは難しくはありませんでした。ですが、ユニークユーザーが数百万人を超え、これから2000万人、3000万人を狙っていくとすると、自分自身の直感に頼ることはもうできません。特に最近強く意識しているのは、「昔の考え方を捨てる勇気を持つ」ということでしょうか。「Gunosyはこうやったからうまくいったよね」というのは、そのフェーズやその周りの環境にフィットしていたからにすぎないのです。「アーリーアダプターを狙うから、25記事でいいよね」といった感覚を持ち続けてしまうと、これからのGunosyは失敗する可能性があると思います。

今後の展開について教えてください。

福島氏:海外展開を明確に意識しています。Gunosyの裏で走っているロジックは、それほど言語に依存していません。ということは、海外に進出するうえでの技術的な障壁は決して高くないということです。展開する国ですが、一つは、「情報が溢れている場所」です。日本はまさにそうですが、「プロではないものの、十分に読むに足るものを書いている優秀な書き手」が非常に多くいます。こういう優良な情報源が多様にあるがゆえに、どれを読めばいいのかが分からないといった問題が顕在化しやすい場所です。Facebookでニュースを読んでいる層が相当数いるようですが、それが起こっている国は大体成り立つと思います。情報取得効率が悪く、網羅性も無いですから、それは、先進国ではどこでも起こり得る問題だと思います。

木村氏: ニュースアプリは強烈なポテンシャルがある割に、アメリカですら日本の半年遅れという感覚です。Gunosyのロジックに言語依存が少ない以上、プロダクトとしては十分に競争力を持てる可能性がありますから、これからメディアの調査やマーケティングなどを更に進めながら、足がかりを築いていきたいと思います。

Gunosyでは、今後の更なる成長に向けて積極的に採用を行っています。ご興味をお持ちの方はこちらからご連絡ください。