インタビュー

Gunosy(グノシー)が見据える、新たな世界

2014年11月11日

株式会社Gunosy

代表取締役 CEO 福島良典氏 / 取締役COO 竹谷祐哉氏

代表取締役 CEO 福島良典氏 ※写真左

1988年生まれ。東京大学大学院工学研究科にてデータマイニングを研究し、在学中にGunosyを開発。2012年度IPA未踏スーパークリエータ。2012年に株式会社Gunosyを創業し、現職。

取締役COO 竹谷祐哉氏 ※写真右

1989年生まれ。早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業後、グリー株式会社にて海外事業やメディアプランニングを担当した後、2013年1月に株式会社Gunosyに参画し、同年9月より現職。

グノシーの今後を大きく左右する新たな構想について詳しく教えてください。

福島氏:これまでグノシーは、ニュースを中心として扱うアプリとして成長してきましたが、もっと広く、もっと深いユーザー体験を提供できるようになります。「Gunosy 5000万人都市構想」と呼んでいますが、グノシーをひとつの「街」のようにしたいと考えています。

実際の街にはレストランも映画館も、旅行会社もあるように、今後はグノシー内でニュース以外の情報も扱うことで、より広くて深いユーザー体験を提供していきます。グノシー内でお店の予約が簡単にできたり、漫画が読めたり、ラジオが聴けたり、クリーニングを頼めたり、アプリが手に入ったり、といったイメージです。

PCではポータルサイトという存在があって、インターネット上の地図という役割を果たしていましたが、私たちはスマホ上でポータルの役割を果たそうとしています。デバイスが変われば、ユーザー行動も違います。

モバイルではセッションが長くなり、頻度が高くなるといった特徴がありますが、そういうものを全て踏まえたうえで、新しいポータル、新しいプラットフォームを、「Gunosy Platform」として再定義していこうという話です。

これまでのグノシーは、アプリを立ち上げた人が記事を読んで興味を持ち、そこに関連する広告がクリックされることで成立していました。実際に広告でかなり多くのトラフィックを送ることができており、コンバージョンレートや、契約数も上がっているので、ビジネスとしてはきちんと成立しています。実際にグノシーからたどり着いた先でのコンバージョン累計は100万件を超えており、そこでなされた取引単価が仮に1万円だとすると、100億円の取引が発生した計算になります。

ただ、グノシーで記事を見てクリックした先はあくまでも「グノシー外」でした。実際のユーザー行動には、「グノシーで知る→検索する→予約する/購入する」という、いわゆるAISASモデルがあるので、AISASのSearch(検索)の段階でお客さんが予約や購入に至らず離れてしまうこともあります。これを踏まえ、それらを一気通貫、シームレスに、「グノシー内で」実現しようと考えたのです。

ぜひ具体例を教えてください。

竹谷氏:たとえばグノシーで、「行ってみたい!京都の紅葉10選」という記事を読んで興味を持ったとします。そうすると、記事の下に「○○トラベルで旅行の見積もりをとる」というボタンが出てきて、それをタップするとメッセンジャーが立ち上がります。そこに、チャットのように希望日付と予算と人数を入力しておくと、1時間以内にいくつかの旅行プランが提案される、という流れです。グノシーのアイコンにマークがついて、「○○トラベルから回答がありました」、というお知らせがくるイメージです。

 今までのECだと、検索欄にいくつかの条件を入力すると、「該当するものが97件あります」というように、レコメンドではなく、単に選択肢の大量列挙になってしまいます。これではユーザーは選択できません。スマホの画面ではせいぜい2~3個しか候補を見られませんから、97件も選択肢が出ると、スクロールして、次のページに遷移して、という具合に大変になってしまうわけです。

今後のグノシーは、コンテンツを見て、何かしたくなった時にスムースにその後のアクションに移行できる、という「ライトなコンバージョン」を実現しようとしています。これは、ユーザーにとっての「なめらかさ」であると言い換えても良いかもしれません。ニュース以外のコンテンツも入口としつつ、余計なことを意識することなく、ユーザー体験が先に進んでいくことを大切にしていくつもりです。 

これを旅行会社側の視点から見ると、スタッフの稼働率は常時100%という訳ではありませんから、隙間時間にグノシー経由の新規見込客の方々に対応できるとすれば、ビジネスとしては割に合います。電話や接客は1対1で時間を拘束しますが、チャットなら、即時に複数の対応ができます。旅行以外にも、アルバイトを探したり、お得な買い物情報を見つけたりといったように、ユーザーの生活に近いものから提供していく予定です。これらを実現するためのパートナー様との提携モデルを、「G Development」と名付けました。

 今まではグノシーから送客したトラフィック総量を中心に貢献を測っていましたが、今後は決済総額といったことで測られるようになっていくイメージです。当面の目標は、月間25万件の取引が行われることです。仮に取引単価を4,000円とすると、月間10億円の取引に相当するボリュームです。

福島氏:スマホ化の流れは進む一方ですから、これまでお店やPCで購入していたものが、もっとライトにスマホ上で決済まで完結できるといったことが確実に増えます。UberやAirbnbなど、サービスECと言われている分野などはまさにそうですね。ユーザーが一度使うとあまりにも便利なので、不可避の流れだと思うのです。そうなると、これまで行われていた、検索して予約・購買といった行動は減少する一方です。

検索はあくまでもPCのパラダイムで、「スマホでカバーできず、どうしても深く調べたいとき用」です。

つまり、検索はより補完的なものに変わってきています。「PC×検索パラダイム」から、「モバイル×ソーシャルというパラダイム」への変化を捉えておかないと、多くのことを間違ってしまいます。これはユーザービヘイビアとしても、技術的としても重要ですが、Googleもそこに悩んでいるはずです。

検索の一歩前でアクションが完結してしまうことが多くなり、かつ、明確な目的を持ってアクションを起こすユーザーは直接Amazonで検索して購入したりしますから。間にある検索というものが飛ばされつつあるのが現状です。そういう背景を捉えると、スマホポータルとしてのグノシーで、より多く、深い体験を提供しようという「街」の発想が出てくるわけです。

普段、どうやって物事を考えているのですか。

福島氏:とにかく、「ユーザーの観察」です。「5000万人都市構想」もそうですが、こういう概念やプラットフォームという言葉は、特別新しいものではありません。ですから、概念だけでなく、実際にユーザーを観察することで、「こちらが思うようには動いていないことを知る」ことが大切です。たとえば、アプリって驚くほどダウンロードされないんですよ(笑)。ひとりのスマホユーザーが1年間で新しくダウンロードするアプリ数は平均7~8個です。

しかも、日常的に使うアプリは全てのアプリの中の8~9個です。メール等も含めてです。自分のニーズを自覚していて、そのニーズを満たすアプリの選択肢を知っていて、それを特定してダウンロードするというのは、ごく限られた人なのです。あまり自分たちの周りにいる人たちをモデルにせず、「多くの人たちがどう行動するか」「何を提供すれば使ってもらえるか」をじーっと観察することから、次の構想が生まれてくるのだと思います。

「技術的には」どのようなものがカギになってくるのでしょうか。

福島氏:ひとつは、「テストする技術」です。スマホでのユーザー行動は、検索に比べて「より曖昧になっていく」ので、何が正しかったのかが、どんどんわかりにくくなります。その点、検索は簡単です。たとえば、保険というワードで検索して、保険のことが書いてあるページが出てくればいいので。でも、スマホ上でのユーザーの要求はもっと曖昧です。

たとえば、「面白い記事を読みたい」というレベルの曖昧な要求に対して、この記事が一番上に来て良かったのか、京都で紅葉を見たいという旅行の希望だったとしたら、この旅行プランが一番上に表示されていて本当にいいのか、という問題をいかにうまくテストするかが、一つの技術的なカギと言えます。

竹谷氏:これまでグノシーが、記事のパーソナライズで培ってきた技術力は、確実に活きます。「この人には何を見せるんでしたっけ問題」は、常に付きまといますから。そういう意味では、どのコンテンツを見せるのか、どの記事にどの広告を合わせるのが最適なのか、というマッチングは、グノシーが培ってきたアルゴリズムが完全に活きる領域だといえます。

それから、UIですね。PCを持っていない人はたくさんいます。そういう人がタブレットを持っているかというとそうでもない。要するに、スマホだけで全てを完結させているのです。インターネットへの接続時間は飛躍的に伸びていますが、スマホのUIで何をしてもらうのかを改めて考えなければいけないなと思います。重要なのは、「なめらかにサービスを使えるかどうか」。親指を上下させているだけならユーザーにとって面倒ではありませんが、それ以外の動きを求めると急にハードルが上がります。この辺りをUIも含めてどう解消していくかといった領域には、まだまだ技術的にもチャレンジがあると思います。

二人の関係も、役割分担が分かれすぎていなくていい感じですね。

福島氏:そうですね(笑)。ちょっとカオスで横のつながりが強いくらいのほうがいいと思うんですよね、今は。クリエイティブであることや、ビジョナリーであることが重要なフェイズなので。もっとはっきりとした実行フェイズになれば、役割ごとに縦割りにした方がいいかもしれませんが、このフェイズではシームレスであることも重要だと思っています。

竹谷氏:まあ、この1年半、一緒にいっぱい失敗してきましたからね(笑)。

Gunosyでは、今後の更なる成長に向けて積極的に採用を行っています。ご興味をお持ちの方はこちらからご連絡ください。