インタビュー

自然体で世界を見据える、MUGENUPの今後とは

2014年12月11日

株式会社MUGENUP

代表取締役 一岡亮大氏

大学卒業後、三井住友銀行に入行。ソーシャルゲームの開発等を経て、2011年に株式会社MUGENUP(ムゲンアップ)を設立。

MUGENUPの事業について教えてください。

「クリエイター版の吉本興業です」と言うのが一番わかりやすいと思います。要するに、「クリエイターをプロデュースする事業」ということです。特に、イラストや3DCGを得意とするクリエイターの方々を集め、ゲーム制作会社のように、イラストをはじめとした多くのクリエイティブを必要とする発注者の方々のニーズに応えているというビジネスです。僕たちは、CGS(クラウド・ジェネレーテッド・サービス)と位置付けているのですが、ここは非常に大きな成長分野だと考えています。CGSのCがコンシューマーではなく、「クラウド」であるところから、「大勢の人たち」というニュアンスを感じてもらえるのではないかと思います。

もともとインターネットは「個人に力を与える」、という意味合いが非常に強いものですが、最近Facebookの影響で、実名でのインターネット活動が一般的になってきたことから、この意味合いがますます加速しています。個人がインターネットを通じてビジネスをするということへのリアリティが増したことも、大きなポイントです。たとえば、LINEスタンプの上位に、普通の主婦の方が居たりするわけです。現状だけを見ると専業主婦ですが、実は以前、ゲーム会社でトップクリエイターでした、という人もいます。環境という縛りからその力を解き放ってあげることは、非常に価値があることだと思うのです。圧倒的に「機会の提供」が重要なのです。

また、発注側についても、ソーシャルゲームが大きく伸びたことで、クリエイティブの需要が爆発的に増えました。この二つの大きな波が重なって、MUGENUPの事業が立ち上がり、成長しています。

CGS(クラウド・ジェネレーテッド・サービス)の中でも、クリエイティブ領域のポテンシャルをどう見ますか。

コンピュータがあらゆる分野に進出し、人間の代役を果たし始めています。様々な分野から、人間が要らなくなっていくのです。これは結構、リスクだと思っています。いくつもの職業がなくなっていく可能性もあります。そうなったときに最後まで残るのは何だろうと思うと、「コンピュータができないこと」しかありません。ゼロからイチを創り出すこと、つまり、クリエイティブはまさにそれです。「これはいい!」という作品をコンピュータが作れるようになるにはまだまだ時間がかかるうえに、その需要はそれ程ないと思っています。

そもそも、どういう経緯でMUGENUPの創業に至ったのですか。

僕が高校生だった頃は、ライブドアの堀江さんや、サイバーエージェントの藤田さんをテレビで見ていた世代です。タレントでもない経営者が、テレビに出てたくさんの人に見られているという事実がセンセーショナルだったのをよく覚えています。ところが、大学の経営学部に進学して学び始めると、マイケルポーターだのなんだのという授業で、「果たしてこれで会社が経営できるのかな」という思いが募ってきまして。それで大学横断的な起業サークルを作って他の大学と連携したりしていました。今でいう、「意識高い系」の学生ですね(笑)。ただ、その頃の仲間は続々起業して、今では名のある起業家になっていますので、あながち無駄ではなかったと思います。そして、僕も当然のように在学中に起業したのですが、やってみると自分に足りないものがわかってしまうんですね。特に、マネジメント能力です。象徴的なことで言うと、年上の社員を雇えなかったのです。当時を振り返ると、「舐められちゃいけない」とかいろいろな気持ちがあったのでしょうが、22歳の僕が30歳くらいの人を雇えなかったという原体験から、自分自身の「足りなさ」を痛感して、まずは就職して社会を知ることにしたのです。どうせなら、いろいろな業種を見られて、世の中を俯瞰できるところがいいということで、三井住友銀行に就職しました。

銀行に就職したものの、学生起業で力不足を感じて銀行に入っただけですから、本質的なモチベーションは上がらないですし、仕事もそこまで難しく感じなかったので、ダメ社員になりそうな気がしました。そこで1年で見切りをつけて、もう一度起業をすることにしたのです。最初は、FacebookAPIを使って、プラットホーム上で何かマネタイズできるのではないかということに挑戦し、大失敗をしました。その後は、とにかくプロダクトをリリースしまくると決め、ゲームなどをいくつかリリースしたのですが、それも正直、全然売れませんでした。ただ、ゲームを作ったことで、クリエイティブ需要の存在と大きさに気づいたのです。そこから、今の事業に辿り着いたという経緯です。

ある意味、「とても普通に」海外の仕事が発生しています。僕たちは、「グローバル展開」という言葉を比較的冷静にとらえている方だと思います。もともとプロダクトがグローバルでない会社は、「海外」ということに過剰に力が入りますが、MUGENUPはちょっと違います。以前、あるグローバル大企業の役員の方とお話をする機会があったので、「あなたにとってのグローバルとは何ですか」と聞いてみたのです。そうすると「僕にとってのグローバルというのは、225カ国に展開していることだ」と答えたのです。「中国に支社がポンとあるとか、シンガポールにポンとあるは、はっきり言ってグローバルではない」と、「それは他国展開であって、ブランチレベルです」とおっしゃったのです。これには、「確かにそうだな」と強く共感しました。たとえばYKKが自分たちを「グローバルだ」と今さら声高に言うかというと、もうそのレベルではないのです。既に、世界中の人たちの生活に入り込んでいますからね。真にグローバルプロダクトを持っている会社は、海外に対して気負いがないです。このレベルでやりたいと思っています。本質的には、世界中のみんなが使うシンプルなプロダクトを創り出すのが正解です。FacebookDropboxもそうですからね。

ですから、海外にわざわざ人が出ていくのであれば、語学ができるというレベルでは全くダメで、「現地のコミュニティに属することができるか」が全てです。それ以外は、日本からでも十分にできますから。

今後のビジョンについて教えてください。

MUGENUPが持つ大きな価値の一つは、人がリアルタイムに働いている状況が把握できているという「情報」です。例えば、MUGENUPに登録している人が22歳になって、仕事がピタッと止まったとなると「就職されたのだな」ということがわかります。「転職」や「結婚」「出産」といったお話も良くあります。ライフイベントに応じて変化するログを、見ることができるのです。ここには結構ポテンシャルを感じていて、リクルートやベネッセのように、ライフイベントに寄り添える会社になり得ると考えています。

もう一つは、B2Cビジネスです。これだけの質と数のクリエイターがいれば、僕たち自身がメディアを作って、コンテンツを提供する道も開けます。たとえば、MUGENUPで漫画を発行するといったこともできるわけです。そうすると、クリエイターさんが個人名で稼ぐ機会をもっと創出できますし、ヒットすれば印税収入になりますから。結局、作り手さんの活動領域を広げられるのです。こういうことが、最初に「吉本興業」的であるとお伝えしたポイントです。

一岡さんの「経営スタイル」のようなものはありますか。

僕は、起業家も一つのキャリアだと思っているので、プロの起業家でありたいと考えています。そして、やるからにはとにかく会社の提供価値を上げて、大きな数字にしたいと思っています。その中でも、会社の価値を表す時価総額は、「意思決定数」にひも付くと思っています。意思決定数というのは、前進する力です。意思決定を僕自身が全てコントロールしようとすると、仮に1時間に1回意思決定したとしても、1日に約10回しかできないのです。それよりも、他の人に任せることで、圧倒的に意思決定回数を増やすことができます。もちろん大きな意思決定は僕自身がしなければいけませんが、小さな意思決定がたくさん生まれれば生まれるほど、物事は前に進むと考えています。会社というものは、「自己実現や自己表現の媒体」でもあると思っています。ですから、メンバーの意思決定回数が多い会社になれば、必然的に良い会社になるのではないか、と考えているのです。

今後は、どういう人と一緒に働きたいですか。

目的意識が明確にある人がいいです。MUGENUPで何がしたいということでなくてもいいので、「自分はこういうことをしたい」という人がいいです。そのための成長経験を、MUGENUPでどう実現できるかという部分を共有できるのではないかと思います。大企業だと上からいろいろと制約条件がありますが、ウチはかなり自由なので(笑)、その分、いい経験を提供できるかなと思っています。

本日は、ありがとうございました!

MUGENUPでは、今後の更なる成長に向けて積極的に採用を行っています。 ご興味をお持ちの方はこちらからご連絡ください。